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みんなが違えば、もっといい。子供が行うアクションラーニングの鉄則!

Newsletter from WIAL 2015September より転載

アクションラーニングという言葉は、なんて魅力的なのでしょう。私は「ラーニング」(学習)と「アクション」(行動)が大好きです。それで、オランダEMORAのTwan Paez氏からアクションラーニングのコースに誘われた時には、迷わず参加しようと決めました。

私は小学校の副校長をしています。放課後ケアも含めた生徒数540名、全職員数40名を管理・教育する者として、アクションラーニングについてさらに学びたいという気になりました。指導者であり元教員である者として、ともに過ごす職員や子供たちが内に秘める知識や才能を高めることに興味があります。私は、どんな人にも何らかの才能や素質を持っていると信じています。他の多くの指導者の方たちと同じかもしれませんが、私は常に、我校の才能あるリーダーたちから、新たな発見や優れた点を見い出すよう努めています。

コースを始めたときには、アクションラーニングの概念について全く知識がありませんでした。当初は、他の同様なメソッドと数多くのよく似た点があるように思われましたが、コースが進むうちに、他とは違うアクションラーニングの真の特徴が分かってきました。

類似したメソッドの多くは、問題解決に特化したものがほとんどです。私がアクションラーニングで最も優れていると思う点は、問題の根底にある意味やその根源を探し求めることにあります。つまり、異なる視点から問題に取り組むことで、実際の問題の違った側面を見つけやすくするのです。チームとしてその方法で問題を突き詰めることで、初めて解決することが出来ます。

そこからどう進むかについてですが、課題となっている問題は、あなたが取り組み始めたときに予想したものとは、全く異なる根源や内容であるかもしれません。仮にあなたがある問題解決方法を使ってその問題に取り組もうとしても、実際には存在しない問題を解いていることになるかもしれないのです。そんな方法では時間の無駄遣いですよね!もちろん、アクションラーニングのメソッドを使って問題についての話し合いを進めるには、あなたのチームが、「チームとグループ開発ついてのタックマンモデル」について、ある程度の知識を持っているということが前提となります。

何回かコースセッションに参加してアクションラーニングの理論について学んでゆくうちに、会社や学校など自分が所属するどこかの組織で、新たに取り入れた知識を実践する必要が出てきました。これはアクションラーニングのコーチとしての経験を積むためです。私たちの組織内では特に切迫した問題がなかったので、私は他にアクションラーニングのコーチング技術を磨くことができる場所を考えました。

小学校のクラスでALが問題発見を促す。

当時、私の小学校の最終学年(11-12歳)を担任していたある先生がクラス内で指導上の問題を抱えていました。その先生は懸命にその問題を解決しようとしたものの、どんな働きかけや努力も、残念なことに効果がありませんでした。それで、その先生も児童たちも、ネガティブな雰囲気から脱することができていなかったのです。

私たちの組織内では特に切迫した問題がなかったので、私は、このクラスの問題が、アクションラーニングの手法を試すのに完璧な候補になると判断しました。そうと決めたら実際にやらない手はありません。私は、アクションラーニングを取り入れる実験に協力してくれるよう、その先生に頼みました。

私は、児童を10名ずつに分け、計3回のセッションを始めました。彼らは、クラス内に存在する問題に気付いていました。そして、この3回のセッションでの結果に、私は本当に驚きました!

児童たちから、こんな発言が出たのです。
「もっとじっくり話を聞くのが自分の目標だから、今は経過を見ていた方がいいですか?」「大勢の前で話すのが苦手だから、クラスでは、考えすぎる前にすぐに質問をしたいです。」「問題の定義がこれまで考えていたのとは全く違うものに思えます。ということは、私たちは間違った解決策を選んでしまったようですね」。
この時点では、まだ解決策を見つけていなかったものの、活発な議論を受けてセッションが価値あるものに思われました。

このアクションラーニングセッションをとおして、私が見いだした価値を以下に挙げてみます。

  • 子供は、偏見を持たずに自分たちの意見を質問に変換するので、結論に飛びつく様子がないこと
  • 子供は、きちんと意見を聞き入れてから、多種多様な深い質問にたどりつくこと
  • セッションは少人数で安心できる環境なので、普段はおとなしくて自信がないような子供たちでも意見を述べたり質問したりできること
  • 内向的な子供たちが、自信をつけて行く様子がハッキリと分かること
  • セッションに積極的な関与することが、当事者意識の明確な増加をもたらすこと
  • 子供たちは、セッション参加者に対して、高い共感を示したこと
  • 正直で純粋
  • 協調性
  • 好奇心
  • コミュニケーション
  • クリティカルシンキングと創造性が刺激されたこと
  • 問題解決能力が向上したこと

教育の世界では、21世紀型の技術がますます重要になることが証明されつつあります。上記で明らかになったことは、「アクションラーニングは、問題解決のためだけでなく、子供たちのための21世紀型スキルを発展させるのにも完璧なものである」ということです。

子どもたちの21世紀型スキルを開発

この問題は当初、「多くの子がいじめをしているので、クラス全体の雰囲気が悪くなっている」と定義されました。3回のセッションのあと私はクラスに出向き、3つのグループがそれぞれセッションで考えた問題の定義とその解決方法をクラス全体に示しました。

まず、3種類の定義を聞いた後で自分の主観では「何が問題に思えるか」を考えるように、子供たちに指示しました。それから、2人組になって気付いたことを共有するように言いました。さらに、5人の小グループを作り、問題についての2回目の定義をしたうえで、解決方法を考え出してベスト5まで出すよう指示しました。

このようなプロセスの後、挙げられた全ての定義を組み合わせると、そこから新たな問題が抽出されました。
「クラスメイトの大半が全部のもめごとにいちいち関わっているので、そのための話し合いがどうしても多くなってしまう。毎日昼休みにサッカー場でけんかが起きている。その時間、担任の先生は校内でランチを食べているのだろう。外にいる他の先生たちの中には、コートを見守ってくれる先生もいるが、見てくれない先生もいる。昼休みが終わってもサッカー場でのもめ事について言い争いが続くので、すぐには授業の準備が出来ない。担任の先生にこのことを伝える勇気のないクラスメイトたちがいる一方で、いじめっ子を後押しする子もいる」。

この問題について合意できたので、クラス内で挙げてもらった共通の解決策のうち上位10個を、優先事項にすることにしました。私は、思考・共有・交換の戦略を再び使い、最終的に上位10個が決まりました。

そのなかから、すぐに実行されるべき3つの解決策はこのようになりました。

  • 1) 問題が起きているのを先生に言いにくいときのため、メールボックスを作って手紙を入れられるようにする。
  • 2) それまで曖昧だったサッカー場の利用ルールを明確にする。「担任の先生にはときどき私たちを見守りに外に出てきてほしい。その後は、自分たちでうまく出来る。それから、屋外にいる他の先生もこのルールを知らせる必要があると思う。」
  • 3) 自分がその問題の当事者であるときだけ、解決に関わるようにする。

一度には使いきれないほど多くの解決策が集まりました。その中で上の3つの解決策が実行されれば、今後は担任の先生と児童が他の解決策を選んで実行することもできるようになるでしょう。こうして、一人ひとりが自分の行動に対して責任を感じるようになりました。「当事者意識」というのは、魔法の言葉です!

もちろん、問題は、すぐに無くなったわけではありませんでした。けれども、誰かがルールに違反したときは、子供たちが互いに注意し合うようになり、リーダーかつ担任である先生は、自分の発案ではなく児童たちが自主的に考えたルールに基づいて指導できるようになりました。このことは、先生と児童の立場を以前とは全く異なるものにしました。責任の所在が先生から児童へと移ったのです。これは、「ボトム・アップ戦略」と呼ばれるとても効果的なものです。

この間にも、私は他のセッションを指導するのに日々奔走しています。管理者、臨時教員、専門の異なる教員から私たちのクライアントとしての親子に至るまで、アクションラーニングのチームに多様性があればあるほど良いのです!
可能な限りバラエティに富んだ才能や考え方を、あなたの会社でも組み合わせてみましょう!

この事例は、教師やその教育が抱える問題とより強力なリーダーシップの問題の間には、類似点があることを表しています。ですから、優れた事例を共有し、私たち自身の多様性あるアクションラーニングチームを、世界中に創造していきましょう。

イルマ・ヤセト オランダ

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