日本アクションラーニング協会
         
         
 
   

新世代マネージャーのコアスキル アクションラーニング

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去る2007年3月6日、東京・丸ビルにて、当協会公認のALコーチ養成講座(ALC)を受講されたお二方をお招きし、新世代マネージャーに求められているスキルについてパネルディスカッションを開催しました。

始めに協会代表の清宮より、マーコードモデルのアクションラーニング(以下、AL)をご挨拶とともに発表を行った後、パネラーの『「3年目社員」が辞める会社、辞めない会社』の著者 株式会社シェイク 代表取締役の森田英一さんより若手流出時代の現状をご説明いただきました。
2人目のパネラー、『だから、部下がついてこない!』 『「上司」のルール』の著者 カルチャー・アセット・マネジメント株式会社 代表取締役 嶋津良智さんからは、業績向上に深く関わる現場のマネジメントについてお話を頂きました。
その後、協会の清宮を司会にパネルディスカッションを開催いたしました。その一部を紹介します。

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日本アクションラーニング協会 清宮(以下、清宮):本日のパネラーは、先にご講演いただいたように人材育成、組織開発でご活躍中のお二方ですが、まず、何故ALに興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?

カルチャー・アセット・マネジメント株式会社 嶋津氏(以下、嶋津 ※敬称略):アクションラーニングとの出会いは、3年ほど前となります。当時ラーニングオーガニゼーション(学習組織)という言葉を知り、高いコストをかけて講師を呼ぶのではなく、仕事をしながら学ぶことができないか、と漠然と考えていたときに、偶然にもアクションラーニング協会からセミナー案内が届きました。自分の考えに結びつくヒントが得られるのではないかと思いセミナーに参加したのがきっかけです。
しかし、当時は清宮さんの説明がアカデミックな内容だったからかよく理解できなかった。その後、昨年ALを体験した人から話を聞く機会があり、その感想が良かったので、すぐに昨年の6月にAL基礎講座(PSD)、その後ALコーチ養成講座(ALC)を受講したのです。


株式会社シェイク 森田氏(以下、森田 ※敬称略):シェイクは、「自律型人材」をキーワードにして展開しています。この「自律」というキーワードには特にアンテナを常日頃より張っていて、ALも「自律」がキーになっていることを知りました。AL自体は、人事の業界の中で昔から耳にはしていました。いろいろなタイプがあり、自社課題を解決するというような経営者育成というのもあれば、GEのワークアウトのように経営者に対してCSも含めてセッションをどんどんやっていくというような手法もあるということは私も勉強していました。そのなかでアクションラーニング協会が日本では本家本元でALを展開していること、またマーコード教授のメソッドがすごいらしいというのを耳にしてPSD講座に参加しましたが、当初はよくわからなかった。
何がすごいかは、実際セッションを講座のなかで体験してみて開花したのです。


清 宮:「自律型」をキーワードにもつALに興味を持たれたということですが、「成長」の視点からはいかがですか?


森 田:その「学習」と「成長」をどういうふうに組織の中にメカニズムとして埋め込むのかが、組織の成長、人の成長に大きく関係してきます。
ともすると、事業をまわすだけだと 「学び」 には目がつぶられ、成長に偏り効率性のほうに注力しがちです。AL手法を使うと、学習に対して非常にフォーカスがあたります。ALセッションでは、参加ルールとして、「質問形式での問いかけ」や「途中でALコーチの言うことをよく聞く」ことといったものがあります。ALは、学習が進むような問いかけをすることで学習を日常に埋め込むプロセスとして非常に有効だと思いました。
また、問題提示者はメンバーから出された質問に対して答えるとやる気が生まれる。指示・命令では生まれないやる気が成長を実感させ、自らが決めた行動を促す。こういった点がALの魅力だと思います。


清 宮:先ほど、ALは実行力があがると仰っていましたが、どういった点が機能しているとお考えですか?ご体感からお願いします。


嶋 津:企業は研修に講師を招聘して終わるといった“コンビニエンス教育”に頼りがちです。本来ならば、そこで何を学んで、アクションを起こしてそれがどうなったかといったプロセスが大切なはず。現場のリーダーだけを育てるのではなく、現場を育てることが大切です。ALは質問力が上がり、質問された側は考える力が向上し、さらにALセッションの中でアクションプラン(行動計画)を決めるので、自分が次に何をするのかも決定します。さらにそれを現場に持ち帰って、行動し、次のALセッションでは、実行の結果や実行してどうだったのかといったことが確認できるため、自分の理想形に近いものだという実感があります。


森 田:ALが「すごい」と思えたのは、わずか1時間のALセッションの中で変化が起こること。1時間のセッションの中で、ALコーチが今何をしているのか、何を学んだか、といったこと― つまり、「学習」にフォーカスを当てています。通常ですと、見落とされがちなプロセスがきちんと取り入れられている。仕事そのものの中身ではなく日々の運営の仕方や会議の進め方に変化がおこり、その変化は応用が利く。組織やチームのなかで、今までできなかった質問が聞けたり、話さなかった人と話すようになったり。上司が絶対といった力関係がなくなり、仲間ということが実感できる。考えるようになる。普通自分の頭のみで考えるが、質問を繰り返すことでメンバーの皆が同じことを考え、今まで別で考えていたことが、皆がシンクロして考えるようになる。一人では考えられないブレイクスルーがスコーンと起こることを体感しました。

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▲森田 英一 氏
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▲嶋津 良智 氏

清 宮:組織そのものを変えていくという意味で再現性がどんどんでてきているのですね。


森 田:そうですね、何回かALをやっていくうちに、質問のやり方等を知り、チームとして成長していくのがALの特徴だと思います。


清 宮:ALは、質問の仕方などを教えてもらうといったスタンスではなく、実践手法です。


清 宮:お二人がお考えになる新世代のマネージャーに必要な能力とアクションラーニングの関係性とは?


森 田:先ほどの私の講演で成長プロデューサーについてお話させていただきましたが、IT、情報網、検索力など情報収集力は若手のほうが優れている場面もあり、上司が監督するのが難しいといった現場もあります。部下のモチベーションをどうあげるか、そこで、部下は、自分がやっている感、自分の仕事が出来る感覚をいかにもってもらうか、といったことが大事です。そこで「質問」が非常にパワフルなツールとなりえます。
「これやっといて」って指示するより、「今は何をおこなったらいいと思う?」と聞くほうが、彼がやったという気持ちになる。出発点が違います。自分が提案したことが通った、ということが部下のモチベーションアップに繋がります。


清 宮:コミュニケーションが重要であるというお話にもつながるとおもいますが、プレイヤーでもあり時間がないマネージャーが1対1でのコミュニケーションで部下のモチベーションアップをおこなうことに限界はないでしょうか?


森 田:限界だらけですね。あるところの統計では、一週間のうち部下と話をする時間は一人のマネージャー20分とう数字もでており、現場のマネージャーは実際余裕がない。一人一人に声をかけるといった風土、そういう関係という自律型チームを作っていく必要を感じます。


清 宮:私自身が感じているポイントは、そのモチベーションアップにも限界を感じています。モチベーションが一時的にあがっても、現場にもどったら元に戻ってしまう。ALのようにチームそのものの力を挙げることでコミュニケーション力をあげていく。つまり、現場のマネージャーは自律型チームを作ることのできるファシリテーション力が求められていると思うのですがいかがでしょうか。


森 田:コーチングが一対一の関係で注目を集めている一方、ALはチームや組織に影響を与えるのでそこに秘めた可能性は非常に感じました。


嶋 津:以前の私自身の上司スタイルはKKDマネジメントでした。いわゆる恐怖(K)、脅迫(K)、ドツキ(D)というもので、俺の言うとおりにやっておけば間違いないというスタイル。しかし、部下がついてきてないなという実感をもちはじめていたときでもあり、ある方に、こう質問したことがあります。「○○さんは部下が思ったとおりに動かないとき、何か工夫されていることありますか?」と聞くと、「嶋津君失礼だけど、部下を動かそうなんて思うのはおかしいよ。上司は、自ら動こうと思える環境を作ることが上司の大切な役割だよ」といわれました。当時25、6の自分は金属バッドで殴られたような衝撃を受けました。リーダーシップを履き違えていた。部下を巻き込んでいくという大切さをすごく学んだ一瞬でした。それから自分なりにマネジメントに関して試行錯誤していく中で、目の前にいる部下の幸せを支援し部下の成功を本気で願うこと、部下と本気でかかわる必要性を感じていきました。
組織をひとつの弧と考えると、当時自分はこの外にいてリーダーとしてやっていましたが、アクションラーニングは弧の中に自分もはいって弧を動かしていくという。


清 宮:マネージャーは支援者としてのスタンスを保つことがその弧の中に入りやすくなることになっていくのでしょうね。 では、会場から質問を受け付けたいと思います。

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会 場:研修プログラムの中にどのように組み込んでいるのか教えてください。


森 田:いろいろな活用の仕方があります。シェイクでは若手育成の研修を行っています。ALのプロセスは、成長、自律型チームを作る育成でもありますが、ALで扱うテーマを部下育成のテーマにすると相乗効果を発揮します。


嶋 津:上司が理念の大切さや戦略の必要性、それを実行したらこの企業に何をもたらすのかを部下に伝えられないといけません。語りかけた部下がどの程度まで理解しているのか。そのため、部下に対して同じ理解度を高めるためにALを使います。


清 宮:お二方のお話は、ALをパソコンのOSのように使っていただいているということですね。部下に対してだけではなくチームリーダーの育成にも使っていただいていると思います。


会 場:アクションラーニングならでは良さについてご意見をお聞きしたいのですが。


嶋 津:いろいろあります。ひとつは、問題提示者以外は質問しかしてはいけないので、質問力が磨かれる。リーダーのみならず、参加した部下みんなの質問力が磨かれていくところが素晴らしい。また、いい商品をつくって、いいサービスを提供。では実際、どうだったのか、という結果まで含まれている。一連の企業に必要なサイクルが、行動ベースで含まれている点が魅力です。


森 田:ALは普通の研修とは違います。人に説明するのが難しく、やってみなきゃわからない。ゴールや目的が明確なプログラム設計をすることがありますが、ALは漢方薬のように“なんにでも”効く。現場で起こる生のテーマを扱い、プログラムの中がよくわからず、何が起こるかわからない。
通常の研修プログラムは目的が明確です。一方、ALは何が起こるかわからない。予定調和では終わらせない 本気でぶつかるコミュニケーションの実体験 ができます。実際の仕事の現場では、今まで起こったことのないような事態にコミュニケーションができるか、といったことが重要になってきます。以前とは職場の人間関係も変化してきたという背景もある中、ALプログラムでは生ものでありリアルな現場とのつながりがあるので、「研修は研修」と切り離しにくいというのが特徴的だと思います。


清 宮:そうでしょうね。現場は生ものと表現されていましたが、ALは外部のプログラムではなく内部のプログラムとして捉えられ親和力が強い手法です。
但し、一回で何か結果を出すプログラムにはなりづらい。生ものということでファシリテーションの役割を行う人材が必要になります。ALでいうと、ファシリテーションするALコーチの存在が必要です。


森 田:一回のセッションが失敗してもよい。うまくいかなかったとき、そこで何を学ぶか、なぜうまくいかなかったのかを振り返って学習すると、そこから次へつながりセッションがうまくいったりする。ひとつひとつのセッションを100パーセント以上の学びに、といったところでしょうか。


清 宮:本日は、お忙しい中大勢の方に会場にお越しいただきまして有難うございました。